アーユルヴェーダ研修医日記−西洋医学病院編−

研修医日記

なんだかんだ忙しい日々を過ごしていたら、ブログ全然更新できていませんでした。(ひぃぃぃ)
そして、明けましておめでとうございます!
これからはちょくちょく更新していきたいものです…

さて、近況報告ということで今回はアーユルヴェーダの研修医生活についてちょろっと書いていきます。興味あったら読んでみてくださいね。

実は、アーユルヴェーダだけじゃない

わたしたち研修医は1年間病院で色んな科を転々としてインターンをします。
1年間といっても、全部アーユルヴェーダ病院での研修ではなく3か月間の西洋医学病院での研修も含まれています。

わたしの大学は3か月ですが、他の州だと6か月の西洋医学研修があるところもあるそうです。

わたしの場合だと
1.眼科、耳鼻咽喉科(1か月)
2.外科(2か月)
3.小児科(1か月)
4.婦人科(2か月)
5.西洋医学病院(3か月)
6.パンチャカルマ(1か月)
7.内科(2か月)
という順番で研修が行われています。

今は西洋医学病院研修が終わり、パンチャカルマ科での研修中です。

なぜ西洋医学研修があるのかというと…

  1. インドのいくつかの州ではアーユルヴェーダ医師が西洋医学の薬を処方することが合法であること。(認められていない州でも、処方しているケースはかなりあります。インドでは薬局に処方箋を持っていかなくても普通に薬を買えるため)
  2. ほとんどの患者さんは西洋医学での治療をしたもののあまり改善せずアーユルヴェーダ病院にくるケースなので、どういう薬を使ったのか知らなければならない
  3. 糖尿病、高血圧、甲状腺の病気などはアーユルヴェーダの薬と一緒に、西洋医学の薬を飲まなければいけないケースが多い
  4. アーユルヴェーダの外科ではヘルニア、痔などの手術が行われるので麻酔や縫合など西洋医学の深い知識が必須
  5. 救急の患者さんが来た時に対応できるように(アーユルヴェーダ病院にはほぼ来ることはありませんが)

などの理由があげられます。

個人的な意見ですが、始まる前までは西洋医学病院研修は不要なんじゃないかと思っていました。。
西洋医学の先生は西洋医学の処方にもちろん長けているわけで、中途半端に学んだ知識でアーユルヴェーダ医師が処方するより西洋医学医師にお任せした方がいいし、現代医学をより学ぶことで純粋にアーユルヴェーダの理論で患者さんをみることが難しくなると感じていたからです。

でも、3か月の西洋医学病院研修を終えた今、これは非常に良い経験だったと言えます。

救急外来と産婦人科と分娩室の日々

わたしの研修先は自分の大学から車で20分ほどの町にある、政府病院でした。
町レベルのため、重症の患者さんはより高いレベルの病院に搬送されます。

本来は救急外来(一か月半)産婦人科&分娩室(一か月半)の半分半分。全部で3か月の研修予定でしたが、インドあるあるで上司の命令で救急外来(20何日か)産婦人科&分娩室(2か月以上)という内容に突如変更されました。

救急外来

わたしたちアーユルヴェーダ研修医の仕事は、血圧計測、採血、注射、ルート確保、傷の縫合、骨折処置の手伝い、胃洗浄、尿管カテーテル、やけどの患者さんの処置などなど。

西洋医学病院では日々当たり前に行われていることですが、アーユルヴェーダ病院ではまれにしか行われていない+初めてやることが沢山で毎日新鮮な日々でした。

心停止の患者さんにCPRを行ったり、慣れてくると薬を処方することも許可されたので簡単なケースは対応できるようになりました。

インド政府西洋医学病院は無料

インドではふたつのタイプの病院があります。公営と民営。

政府が運営する病院では医療費が全くかかりません。薬や診察費用など完全に無料です。民営は普通にお金がかかります。政府病院に比べて、待ち時間が少ない、きれいなどのメリットがあります。ちょっとお金がある人は民営の病院に行くケースが多いです。

政府病院では医療費が無料のため、貧しい人たちには非常にいいシステムとなっていますが、無料がゆえ間違った利用の仕方をする人も結構見受けられました。注射の必要はないのに、注射を強要してきたり。

産婦人科&分娩室

産婦人科外来

主に分娩室での研修でしたが、10日間ほど産婦人科での外来研修がありました。
外来で驚いたのは、すでに子どもが3−4人いるにも関わらず子どもが出来てしまい自分で中絶薬飲んでくる方の多いこと。(レイプでの妊娠など例外はありますが、自分勝手な中絶は基本的に法律で禁止されています)

避妊への知識がないというよりも、知識はあるが旦那が避妊してくれないというケースが多かったです。一回の失敗とかではなく、すでに3−4回中絶薬を飲んだことがあるという方がかなりいました。

分娩室での日々

実際に働いていた分娩室の写真。3つ分娩台があり、ピーク時に。3人同時に出産なんてことも。

研修医生活のなかで一番印象深い経験となったのが、ここでの仕事。

(3年生の時に、10日間の産婦人科研修があって出産や帝王切開を見たことはあったのですが実際に自分でお産をとるという経験をしたことがありませんでした)

分娩室のシフトは8−14時、14−20時、20−翌朝8時までの三交代制で、ドクターと研修医が基本的に二人(+看護士などのその他スタッフ)で全てをこなさなくてはなりません。夜勤で仮眠をとりにいったドクターが電話をかけても全く応答せず、部屋のドアをたたいても出てこず(涙)朝まで一人でお産をとり続けるなんて日も結構ありました。命を背負うってことで毎日かなりのプレッシャーで、毎日「お母さんと赤ちゃんが健康でありますように」と神頼みをしてから病院に向かっていました…

そのかいあって一人で60以上のお産をとる機会に恵まれたし、アシストを含めると100以上お産に関わり、会陰切開&縫合などの経験も詰めました。

実際に取り上げた赤ちゃん

インド政府病院でのお産は妊婦さんに全く優しくなく結構厳しい言葉をかけるスタイルなので…日本のお産はどのように行われているのか気になります。

まあ、これからの人生でお産をとる機会はないだろうけど、もし将来道ばたで急に産気づいてしまった妊婦さんを見かけた場合には、自信をもって手助けできると思います。

アーユルヴェーダ的な妊婦ケア、産後のケアもしっかり学びたいなー。

アーユルヴェーダ医と西洋医学医の違い

3か月の研修生活の中で西洋医学病院の問題点も見えてきましたが、それよりも学ぶべき点がとても多かったように思います。

  1. 仕事が迅速
    →アーユルヴェーダ病院では緊急の患者さんがほぼほぼ来ないこともあり、全てにおいてスロー。無駄なペーパーワークが多い。
  2. 知識を惜しみなく下の世代に伝えてくれる
    →アーユルヴェーダは秘密主義っぽいところがあって(知識が間違った使われ方をしないようにって意味では正しいのかもしれませんが)人に教える際も出し惜しみするドクターが多い印象です。
  3. 経験できる患者数が桁違い
    →シニアドクターがジュニアドクターに自分が持っている知識経験をしっかり共有し、沢山の経験を積んでいくってそりゃ現代医学は進化していくわけだなと思います。

西洋医学薬を処方することはこれからの人生でないだろうけれど、違うフィールドのドクターたち姿勢を見れたことはとてもいい機会でした。

これから

お世話になったドクターと。

早いもので1年間の研修医生活、そして5年半以上のインド生活はあっという間にあと数ヶ月で終わろうとしていて。さて、これからはどんな形で学んできたことを生かすことができるだろうと模索中です。

今まで散々お世話になったインドにも、生まれ育った日本にも何か役に立つことができるといいなと思います。相も変わらずカメのような進み方ですが、見守って下さると嬉しいです。今年もよろしくお願いします!